PHASE-12:裏切り

マルキオ導師は80を超える老人となっていた・・・・・・・・。  C.E.と呼ばれるこの時代には、冷凍睡眠技術もあった。

だが、その技術を持っているのはプラントのコーディネイターで、C.E.0083に第二次コーディネイター戦争の終結に伴い、地球連合及びブルーコスモスが没収。  その技術は連合の高官及びブルーコスモスの主要幹部が牛耳る事となり、民間の手には渡らなくなった。

C.E.0078に起きたリヴァイアサンの反乱、この反乱終結後にキラ・ヤマトとアスラン・ザラは行方不明となり、残されたラクス・クライン初めPFJの幹部達も世界から逃げる為に姿を晦ました。

そして、調停者が居なくなったC.E.0083・・・・・・・・・遂にコーディネイターとナチュラルの大規模な戦争が始まる。

結果は連合の勝利で、世界は地球連合の物となり、膨張したブルーコスモスはコーディネイターの徹底的な根元を切り落とす虐殺を開始した・・・・・・・。

これに反発する形で誕生したのが、反地球連合軍組織『ムースル』である。  ムースルの存在は未だに世間に認知されず、テロリストという扱いでしかなかった。

だが、この戦争で勝利しなければコーディネイター達の運命は・・・・・・・・・・・・。

戦艦ムースルは秘匿してくれる中立国オーブへと立ち寄る・・・・・・・・。 補給と少年の矯正を図る為に。

だが、オーブもまた、連合の配下となってしまっているのだ・・・・・・・・・・・・地球にはもう、コーディネイターの味方は居なかった。

 

 

「かたじけない、貴国への立ち入りを許可して頂き・・・・・・・・・・・」

「粘着虫はちゃんと取り除いてるのかい?」

「ああ・・・・・・・・・・・」

 

ムースルの戦艦『ミカエル』の艦長、ガリム・シンフォニーはブリッジにて国境警備員の指示を仰いでいた。

 

「こっちも連合にバレたら、タダじゃ済まないんだ・・・・・・・・・・・例の物を持って来てるんだろうな?」

「勿論だ。」

「そうか、首長には黙っておいてやるよ。 あのコーディネイター嫌いの”セイラン”にはね!  おーい、客人だ! 中に入れてやれ!」

 

 

賄賂の取引で密国するガリムは罪悪感を感じていた・・・・・・・・・・。  もしも、連合にバレてしまうとオーブはただじゃすまされない。

オーブもおそらくはプラントと同じ運命を辿る事になるだろう・・・・・・・・・・・・・と。

 

「まるで、苦虫でも噛み締めてる想いだよ・・・・・・・・・・・・」

「なにか言いましたか? 艦長?」

「いや、何でもない・・・・・・・・・・・・気にするな。」

 

副艦長は事の重大さに分かっていない、そう・・・・・・・・・・・もしもミカエルにスパイや盗聴器が仕掛けられていたらこの艦どころか、オーブそしてコーディネイター達の存在さえも危険になるという事も知らずに・・・・・・・・・・・・。

 

 

「・・・・・・・・・・・・そうです、ミカエルは入港しました、あの国に。  あの少年と共に。」

自室で不気味に小型の通信機で何者かと語る人物・・・・・・・・・・・・既にミカエルにはスパイが居たのだ。

「分かっています、時期が来たらクラインと共に・・・・・・・・・・・それでは。」

ミカエルの戦闘部隊の隊員、ティール・モンドは不気味な笑みをこぼしていた・・・・・・・・・そう、これから起こる未来に期待して。

ティールは通信機の電源を切ると、部屋を出た。

「ティール君?」ティールは背筋に氷を入れられたように反応した。  その声が一番油断できないイロハ・ムラマサだから。

「隊長ですか・・・・・・・・・何の御用でしょう?」

「もうすぐ、オーブに着くわ。  分かってると思うけど、ヴィヴル君はここで降ろします、刺激しないでね。」

「刺激も何も・・・・・・・・・・・・私は正論を彼に述べただけですから。  しかし、良いのですか?  彼をこんなところに降ろしても?

彼は連合の作り出したコーディネイターですよ?  それに、オーブは連合の支配下だ。」

「そんな事、貴方に言われなくても分かってます。  それよりも・・・・・・・・・さっき話してたのは誰?」

「そんなプライベートに口を挟むのですか?・・・・・・・・・それに、」

「いいから答えなさい!」  イロハはティールの胸ぐらを掴み、真剣な表情でティールを真っ直ぐ見つめた。

「あの・・・・・・・・・・何してるんですか?」 しかし、そこに妨害が入ってくる・・・・・。  ヴィヴル・エラードだった。 彼は私服に着替え、ようやく戦争から離れられる事に対して嬉しかった。  但し、彼の情緒は不安定で、精神病院に入る事は決まっていたが。

「なんでもないわ、ヴィヴル・・・・・・・・・・・良かったわね、降りられて。」

「はい・・・・・・・・・・・!」いつも表情が暗かったヴィヴルに少し活気が戻ったようなそんな感覚を覚えたイロハはティールの胸ぐらを掴むのを止めた。

「とにかく、貴方には関係ない事です・・・・・・・・・・・イロハ隊長。」 ティールは掴まれて歪んだ襟を几帳面に戻し、イロハに深いため息を着いた後にヴィヴルの横を通り過ぎた。

「良かったな・・・・・・・・・・逃げられて。 腰抜けの強化人間。」ティールはヴィヴルに捨て台詞を吐いて、去って行った。

「気にしなくていいのよ、彼は・・・・・・・・・・少しひねくれてるの。」イロハはヴィヴルに肩を乗せて、ヴィヴルをなだめようとした。

「気にしてませんよ・・・・・・・・・・・僕は、戦争の為に作られただけの人間なんですから。 彼は間違ってません。」

「ヴィヴル君・・・・・・・・・・・・・・」

「そうですよね、皆さんはこれからも父と戦っていくのに、僕は戦うだけにしか存在意義が無いのに逃げるんですから。」

「それは違うわよ、ヴィヴル君!」

「同情は止めてください、もうウンザリなんですよッ!」

「えっ・・・・・・・・・・・?」

「また、僕の人格が変わったら嫌でしょう!  もう、僕の事なんか放っておいてください!」

ヴィヴルはそう言い残すと、彼もティールの向かった方向とは反対側の通路へと行ってしまった。

イロハは壁にもたれ、無気力になり、大きなため息を着いた。

「ティール・・・・・・ヴィヴル・・・・・・・どうして貴方達は、そんなに悲観的なのよ・・・・・・・・。」

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